神座その2
前回書いた神座の儀式が無事終わった。
都市部の皆さんや若い人には馴染みがない人も多いと思うが、その始終はこのように行われる。
まず、前の年に、次の座組と言われるグループの中の座元が、前の年に神座に招かれて、次の年の神座を執り行うことの引き継ぎがなされる。
夏を過ぎると、座元は座組を招集して、その段取りを打ち合わせ、まずは、しめ縄を作るのに必要な稲わらを確保しておく。
稲わらは、もち米の稲わらが良く、本来は穂が熟れない青い時に刈り取る藁が、しめ縄作りに適しているらしいが、現代では、収穫した後の藁を米作農家から頂く。
座元は、10月から11月初めには、再度神主と打ち合わせて、座組を集めて段取りや準備するものを用意する。
神座の日程は、決まっていて変えられない。我々の場合は、12月7日。
用意するものは、鯛2匹・米・酒2升・スルメ・5種の果物・5種の野菜・赤飯で、これを2対用意して、神様を祭る床の間と玄関先に並べる。
しめ縄は、7m、5m、3mの3本を作り、5mのものを青竹に両端を結んで、片方は天に向け、片方は地に向けて結び、本来は座元の家の玄関に立てかけ、7mのものは、神社の御神木の大杉の木2本に括り付けて垂らす。3mは同じく神社の鳥居に飾る。
いずれも、青竹に結んで、それをそれぞれに結びつける。
しめ縄には、藁の束を3か所にたらし、更に藁を5・5・7・5・3本というようにたらす。最後に神主から貰った白紙で出来た御幣という下げ物をつける。
当日は、朝から座組が集会場(本来は座元の家)に集まって、神主が祝詞を上げ、お祓いをして、神様を招き入れる。
現座元と、次の座元で杯を交わし、その後に全員でお神酒を頂く。
その後、外に出て、しめ縄を飾った玄関の2本の竹を、男衆と女衆が引き合い、わざと男が負けて、竹を真ん中から折って、しっかりと2本を結びつける。どうやら、家庭の中は昔から女が主導権を持ったがいい。そして男女仲良くしなさいと言う意味のようだ。
結んだ竹としめ縄は、座元の庭の柿の木に結びつけて終わり。
その後は、宴会となるが、昔はこれが2日も3日も続いたらしい。
こういう機会には、よく神主が私たちが知らない地元のことや神社のことを教えてくれる。例えば、この集落の昔の名前やいわれ、昔の行事など、これからまた年月が経つと、その昔のことも誰も継承できなくなるだろうが、リタイヤしたら、そんな地方史の研究も面白いと思った。思っただけで終わるかも知れないが。
我が国は、戦後にアメリカの命令で、神道教育を止められた。
日本人が天照大神を祖神として、また1つになることを恐れてのことだが、それ以来、日本人は拠り所を失くしてしまい、家族愛や愛国心まで失くしてしまったと神主は言う。神に仕える人の意見ではあるが、外れてもいない。
ただ、戦前の教育は、北朝鮮やISに近い狂信的な面もあったことも確かだ。