654 物流問題
物流というより、早い話が運送問題。運送業界は長期に渡って、運転手にかなり過酷な運転業務を課してきた。例えば九州から東京へワンマンと言われる1人での運転。しかも帰り荷も積んでくる。往復で何十時間も1人で運転してくることになる。しかし、当時の運転手は、それで、かなりの手当てが付くため、これを受け入れてきた。ただ、その間に、過労運転による事故も多発したし、高齢になって、腰痛などの過労運転の後遺症が出ることも多かった。
そんな事象を理由に、運輸省、今の国交省は運送会社に対して、適正な運送勤務を義務付けて、長時間運転を禁止した。具体的には、長時間継続運転を禁止したために一定の休息時間を取らせたり、中継を設けて運転を交代する。または業者間で提携して運送の引継ぎを行うなどで対処するようになった。重量オーバーなどの取り締まりも強化された。
そうなると、当然、運賃はその分高くせざる得ない。実際、ここ数年で1割~2割運賃は上がった。それよりも、現在の問題は運転者不足。菅原文太さんが亡くなって(笑)、昔のようにトラック野郎にあこがれた若者は少ない。長距離運転というと、夜間走行があるので危険な職業という見方も多いし、殆どが大学に進学し、雇用環境もよくなると、何日も家庭を空けるような仕事は敬遠される。当局指導で基本給重視になり、歩合給が減ると稼ぎも少なくなる。それでも、運送会社の売上に対する給料負担は増えることになる。
今後も間違いなく運転手は減少する。運転手不足で廃業する会社も出始めている。こうなると、ただでさえ通信販売の普及で配送業務が増えているのに、それを配送、配達する人がいなくなる。それでもまだ、今まで運転手として頑張って来た年配の皆さんが、それを支えているが、それもここ10年内で激減するだろう。
それを解決する、解決までは無理でも軽減するには、貨物列車、船便利用、電車網利用を図るしかないと思う。例えば、九州、中国、近畿などのエリア輸送はトラック便で行い、博多から、大阪や東京までは列車や、船便を利用する。東京などの大都市圏は電車も利用できるシステムを作る。生鮮物のように大量で且つ急ぐものについては、10トン車を20トン車に切り替えて運送回数を減らす。
もちろん、解決すべき問題がある。発注先の時間指定だ。この指定のために無理な運送や運転をしなければならないし、待ち時間のロスが生じているのが現実。運送事情がわかっていない横柄な受領者は、時間につかないと、その日は受け取らないというようなところもあるのも事実。物の売り買いは、売り手買い手しか表に出ずに、それを届ける運送業者は縁の下の力持ちだ。通販は便利だが、それを配送する業者があってこそのシステム。
そういえば、昔オイルショックが起きた時、それまで当たり前のように仕入れていた重油を、頭を下げて、割り当て方式で入れて貰ったり、トラックを回して貰ったりした経験があるが、今後も同じようなことが起こらないとも限らない。という事で得意先だけでなく、仕入れ先や業者とも友好な関係を築いておくことは大事(笑)