629 ドラ消耗戦
私は、以前に私の経営方針をブログで書いたことがある。
その中で、「適時・適格・適量」を経営方針としていると書いたが、その適量の問題。
売上を伸ばそうと、小売りチェーンは店を増やす、各社が増やせば増やすほど、競争が激しくなり、やがて値下げ競争が始まる。そうなると1個当たりの利益が減るから、更に販売量を増やすために店を増やすか、もっと値下げする。
そのブログで、適量が重要だというために、そういう原理を書いていたと思う。
その時は、まだ山田電気など、電気器具販売チェーンを想定して書いたものだった。
今、まさに、その消耗戦に突入しているのがドラッグストア。
今から5年程前までは、まさに小売りの花形で、食品スーパーを追い越す勢いで伸びてきた。
マツモトキヨシやサンドラッグ、この辺ではドラモリと呼ばれるドラッグモリ。
とにかく医薬品や化粧品以外は安い。当社も間接的に供給があるが、とにかく仕入れ先に対する価格要求も安い。
あまりに安いので、ついに先日、取引先を通じて納入を断った。
中身の量を減らせ、安い原料を使えばいいと言うが、そんなことは製造者としてのプライドが許さない。
しかし、そこを主力に頼っている会社は断れないところもあるはず。
今までは、量に物を言わせた安い仕入れと、化粧品や医薬品の利益で食品の安値販売を伸ばしてきたが、業態が10年を経て、良く言われる業態寿命期限が近付いている。
過当競争の結果だ。同じような店が多すぎる。
他の業態が、コスト上昇に合わせて値上げしているのに、値上げしない。つまり仕入れ先に値上げさせないのだ。
しかし、それだけでは、その店自体のコストアップを賄えず、各社共に減益を続けている。
コストの大きなものは、人件費。
普通の店と違い、ドラッグストアというからには医薬品を扱える資格者が必要だし、化粧品にも詳しい店員が必要だろう。更に、置いてある品種が、コンビニの6倍前後というから商品管理も大変。
それでも、まだまだ出店を続けているが、いずれ縮小しなければならない時期がくる。
恐らく、遠くない時期に。
また、一昔前のスーパーチェーンのように、どんどん進出してきて、地元の小売店を廃業に追い込み、そして、上手くいかないと撤退して、地域の過疎化に拍車をかけるパターンが、ドラックストアで始まろうとしている。
一方で、そんな寂れた街に、また地元密着型の個人の店が出来始めたのは嬉しいことだ。