523 TPPの是非
TPPについては、前にもブログに書いたと思うが、前に書いたことと違っていても、責任は取らないというのが「鶴の一声」の基本方針。笑
TPPというのは、途中、北朝鮮、モリカケ問題などで影が薄くなっていたが、新聞の一面を賑わかせた時間も長かったので、殆どの人が知っていると思うが、環太平洋の国々で、貿易する物品の関税を撤廃しようというもの。
日本は、当初、この動きには農業や零細企業を守る立場から反対だったのだが、アメリカがやる、日本も加入しろと言うので、安倍さんも、止む無く加入すると言った。
しかし、その途端、アメリカはトランプさんに大統領が代わって、やっぱり止めたとなった。
日本は、アメリカに押し付けられたからとは言えないので、TPPはいいことだと言ってきたため、今更引っ込みがつかず、一変、安倍さんは、推進派代表みたいになってしまった。
TPPが導入され、関税が撤廃されると、どうなるのか。
元々、輸入関税というものは、2つの意義がある。
1つは、輸入品に関税をかけることで、国の税収として相当額の財源になっている。
私の国で、物を売る以上、場所代を払いなさいと言うようなものだ。
もう1面は、それぞれの国の事情、つまり国土の広さや、経済力、生活・物価水準、人口、気候などなどを勘案して、お互いの国の産業が成り立つようにする価格の調整機能。
つまり、アメリカ・カナダのような大規模な農場で栽培した麦や大豆と、日本の様に狭い国土で栽培したそれは、当然コストが大きく異なる。アメリカの安い農産物を日本にそのまま輸入したら、日本の農家は成り立たず、やがては、食料と言う命綱を外国に握られてしまう。
もちろん、牛肉など、肥育技術で優位性を出したり、米などのいくつかの分野は、当面除外されているが、その内なし崩しになるだろう。
また、日本の10分の1というような発展途上の低賃金で作った洋服や雑貨が、そのコストのままで輸入されたら、日本の繊維産業は潰れてしまう。
だから、そのバランスを関税で調整しようと。
関税が無くなれば、一見、消費者にとって、安いものが入ってくるので物価が下がっていいことのようだが、それによって、同じものを作っている日本の会社や農業が成り立たなくなれば、関連する多くの会社は潰れ、給料は出なくなり、収入も無くなれば、少し物価が下がったくらいでは追い付かない。
自動車や電気製品の販売も影響を受け、行きつくところ、日本の経済、財政はガタガタなってしまう。
果たして、本当に関税がそれほど各国に悪影響を及ぼしているのか。
輸出品目が多くて、輸出したい国は、関税を撤廃したが有利だと思っているかも知れないが、関税の機能によって、何とか守られている国もあるだろう。
シンガポールのように、非生産国なら関税は無い方が、物の動きは良くなるだろうが、世界的には、生産と言うものがなければ成り立たない。
日本でTPPを推進しているのは、勿論、輸出主体の自動車や、電気産業、建設機械など。
確かに、関税分の値段が下がれば、売りやすくなる。しかし、関税が10~20%掛っていても、日本の自動車や、電気製品などは、国土の面積関係なく、技術力で優秀なものを作り、そのくらいの差額は克服して売れている。
すでに、農林水産業が衰退している日本の産業割合からすると、当面、今回のTPPは有利に働くだろう。
かなり以前だが、日本は、自動車などで儲けて金があるのだから、農水産物は、国の金を注ぎ込まずに、外国から輸入すればいいと言った大臣がいたが、日本の財政は先送りで成り立っており、金余りは幻想だ。
モノ余りが続いて、食料の大事さに対する危機感がマヒしてしまっている。
要するに、その国の発展度合や競争力によって、関税の割合を調整して行けばいいのであって、全く同じレベルの国家間ならお互いゼロでいいと思うが、どうみても、国家間の差が、まだまだ大きい。
国の将来を左右するような問題は、そんなに拙速に決めないで、100年かかってもいい。
あとの900年後悔するより。
どうも、このところ各国のリーダーが、自分の人気取りで、その影響を深く考えずに、発言したり決定したりする傾向にある。
また、それに輪をかけて、取り巻きが自分の出世を考えて、簡単に追従すると言うのも情けない。野党も犬の遠吠えとしか映らない。
またまた、政治批判をしてしまったので、ここらで終わり。
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