521 商売の原則
明治維新から現代までに、日本にも、いろんな商売が生まれた。
それまでは、士農工商と言われた通り、武士と農業の他には、工の部類の、鍛冶屋や金物屋、反物を作ったり縫ったり、履物や箪笥などの生活用具を作る、または家や橋を作る大工や左官、建具屋。商の部類では、米屋に呉服屋、金貸し、魚野菜などの食べ物の行商、うどんにそば屋・雑貨屋・料亭・籠屋・旅館・置き屋・酒屋・・・
それが、文明開化とともに、いろんな商売が出来始め、もちろん江戸時代以前から永遠と続いている必然的商売もあるが、その頃は無かった新しい商売が溢れている。
コンビニ・スーパー・デパート・映画館・自動車製造販売・タイヤ・バイク・電器製品販売・パチンコ店・本屋に喫茶店・IC関連・レストラン・旅行業・運送業に旅客業・私の嫌いなスナックにクラブ・お金を預けに行く銀行・行っても無駄なエステ・・・・
まあ、上げればキリがないが、どの商売でも、基本原則がある。
まず、その商売を、どれだけの期間やるつもりかで、全く違ってくる。
例えば、1年も経たずに、短期で終わるつもりなら、何でもありだ。その商品について、ホラをついても、嘘八百並べても、産地偽装しても、走行距離偽装しても、1年以内で売りっぱなしであれば、結果も出ない内に責任取る間もない。やり方によっては短期間で大儲けできるかもしれない。
5年や10年続けるつもりなら、そういう訳にはいかないが、それ以上は続けないつもりなら、10年以上の体力も資力も残す必要はない。その間だけ稼いで店じまいすれば、これもある程度稼いでさよならという事ができる。
ある程度、損得の計算もしやすいから、投資額も判断できる。
自分が、やれるまでは続けたいと思えば、それなりの年数やることになるので、自分の信用が大事になる。自分だけ儲けていては、それほど長く商売は続かない。
自分の一生の仕事と決めれば、いい加減な終売はできないし、当然、悪い時もあるという覚悟も要る。
でも、まだ、自分一代で終わるつもりなら、気は楽だ。跡継ぎの心配もいらないし、ダメだったら、やめればいいという考えもできる。
ところが、その商売や事業を末代まで残したいと思うと、全く商売の仕方は変わってくる。
もちろん、長く続けるためには利を薄くして、長く取引ができるようにすることが肝心。
いいものを作り、いいものを扱って、信用を保つ。自分だけの信用だけでなく、売るものの信用や会社の信用も必要になる。
後の代に引き継ぐための、経営の基本や決め事、財務留保、技の伝承、後継者教育、取引先との信頼構築など、短期の商売や一代限りの商売とは、考え方を変えなければ続かない。
だから、100年企業と言われる会社には、そういうものが揃っているし、そういう基本があり、承継があるから続いている。
近年の、急成長している会社は、まだ社長が操業して1代目という会社が多い。ゲームなどのソフト開発や、財テク、通販など、ちょうど社会のニーズに、または時流に乗って、あっと言う間に拡大した会社の殆どは、出来て10年前後の会社が多い。
成長させて、自分1代どころか、早々に売り払って利益を取るという経営者もいるが、彼らが創業した事業を、今後どれだけ続けて行けるかは、その商売の原則がカギとなるだろう。
よく言われるように、10年続く会社は、操業した会社の10分の1、20年は20分の1、100年となると100分の1。
わが社も、100年まであと14年。もっと世の中の変化に対応する力も大事になる。