たけのこの季節
また今年も、数少ない旬の野菜と言われる「たけのこ」の季節」がやってきた。
なぜ、数少ない旬の野菜と言われるのかと言うと、殆どの畑作の野菜は、ハウス栽培などが進み、本来の季節より長く、つまり本来の旬の時期以外でも食べられるようになったが、流石に竹林だけはハウス栽培というわけにはいかない。
地中に熱線や温水などを通して、地温を上げれば早く成長するが、コストと見合わない。
タケノコは12月後半から少し出始め、3月半ばからは青果として本格的に出荷が始まる。
最盛期は、毎年4月の10日から20日前後の2週間。ここで全生産量の半分以上が集中発生する。この時期は、青果に出すには作業が間に合わず、青果には多すぎて市場も処理できず価格も暴落するので、早めに缶詰原料として振り替えることになる。
発生時期は、積算温度で決まると言われる。特に夜の温度が高くなると出てくると言うのは私と同じ仲間だ(笑)
たけのこは、発生して3年目から、その竹がまた、たけのこの芽を付けて、たけのこになるというサイクルを繰り返す。
だから、栽培農家は、たけのこを全部採ってしまわず、毎年適当な親竹と呼ばれるタケノコを残して採取する。そして、発生年の印をつけて、毎年出るように管理している。
しかし、タケノコには表年・裏年と言って、多く出る年と出ない年が、ほぼ交互になっている。
どうして、そうなるかと言うと、いくつかの原因はあるが、台風で親竹が痛めつけられて芽が出来なかった場合。また、芽が出るとき干ばつで、地中の水分が不足し、芽を出す地下茎が伸びなかったり、芽が出なかった場合が主なもの。個別には、管理不足で、ちゃんと親竹を残していなかったとか、施肥管理を怠った場合なども考えられる。
ここ八女は日本一のタケノコ産地だが、今年は表年。昨年は100年に一度という裏年で、今年は既に早くから出ており、表年の兆候が見られる。
昨年は、産量が平年の半分だったが、価格は2倍となった。今年はその逆になるので、生産者は大変だが、消費者には優しい年になるだろう。
ミニ知識として、たけのこには稀に白い粉状の付着物が付いていることがある。これはチロシンと言って、植物性タンパクの一種で、毛細血管の詰まりを防ぐなどの優れものだから、カビと間違える人がいるが、進んで食べた方がいい。