日本の賃金
今朝の日経に「日本の賃金、世界に見劣り」という記事が一面の最初に載っていた。
何となく、政府の賃上げ政策の臭いを感じる。
グラフはここ20年の賃上げ率を示して、カナダ、フランス、米国、英国やドイツ、あの財政破綻のイタリアも日本より上だと言っている。
しかし、賃上げ率では、元々の水準を示さないと、20年前から高い水準の国と、極端に低かった国では、当然違う。
日本の給与には、他の資本主義国家と違う一面がある。
米国など、儲かる企業の幹部連中は、日本では考えられないほどの高級を取っている。
年収、数十億がざらに存在する。
その連中が全体の水準を引き上げるが、そうすると逆に、食うに食えないような給与の人々がその数倍いることになる。
日本は、昔から独特の道徳観念があり、自分だけ裕福とか、自分だけ多くを得るということを良しとしないのである。
だから、日本の平均的給与は、国民全員に極端な開きが無く、享受していると言っても過言ではない。
このように、外国と比較したり、他人と比較して、さも、それが劣っているような乱暴な記事を書くのは、如何なものかと思う。
要するに、その給与が高いか安いかは、本人の満足度であり、幸福度で測ることで、給与の他の福利厚生や退職後の処遇なども考慮しなければならない。
その国の物価や、情勢でも価値は変わるし、海外となら為替の変化でも変わる。
とにかく、政府や官公庁の発表は、何でも一括りにして、その数字で評価してしまうので、その背景や実情を考えずに、そのまま鵜呑みすると判断や評価を誤ることになりかねない。
それはそれとして、我が国の経済環境が良くなったことで、儲かっている大企業は、もっと給与支給を増やすことについては、異を唱える者はいないだろう。
ただ、それは日本人の道徳観念に従って、下請け会社や子会社にも還元すべきだろう。