農業後継者問題
2018/03/17
以前の投稿でも述べた通り、今、我が国の農業者の平均年齢は65歳を超えている。
そして、後継者は恐らく、現時点の農家の2割程度しかいない。
政府は、TPPを進めるために、日本の農業を大規模化して輸入攻勢に備えると言って、小規模農家を排除して、大規模農家を作るための補助や援助を謳っている。
しかし、農産加工の会社として生産者とつきあい、農業の実態を見てきた立場から言わせてもらえば、それは机上の空論。現場を分かっていない政治家の空想だ。
それが本当に出来るなら、それは理想なのだが、ほんの一部はできるかもしれないが、日本の地形がそれを許さない。
電車や幹線車道から目に見えるのは、平地に田畑が広がっている風景だが、現実の農作地は山間部に段々畑。
補助事業で大型ブルで山を削って、園地を丘陵化しているところもあるが、それも一部に限られている。
この周辺の竹林やみかん園などのほとんどは、大規模化できない地形に存在しており、兼業農家が7割を占める。
そんな現実を見てきた私はこう考える。
日本で大規模農業をという遠い理想を追うより、日本は日本に合った農業をやればいい。
アメリカ型ではない、どちらかと言えばヨーロッパ型。
兼業農家もいい。兼業農家の品質が悪いと言うが、それは兼業になる前の農家の規模をそのまま引きずっているからで、ちゃんと管理できる規模に減らせばいい。
管理できない農地は、隣接する農家や、会社勤めを退職した人に斡旋する。
会社を退職して、ブラブラしていると心身ともに悪い。医療費もかかる。会社を退職する65歳は、年金も支給され、退職金もあるので、生活の為に必死で働く必要はない。
無理しなければ、65歳から10年くらいは続けられる。
身体作りと土と触れ合う楽しみを兼ねて、自分のできる範囲で楽しみながら作れば、心のこもったいい作物が出来て、日本の需給率も上がる。例えば孫たち、子供たちの教育にも繋がる。
当面、始める人には、行政やJAが斡旋や補助・指導などの支援をする。そういうシステムを作る。
もちろん、機械設備はJAが必要な時に賃貸すれば、高額な機械を個々に購入する必要はなく、農家の負担は、通常の10分の1で済む。
地域に移住や、中短期ステイもできるようになれば、地方の活性化にもつながる。
国は、格好つけの理想図はちょっと横に置いて、近い将来に実現可能な、現実・現場に沿った計画を立て直してほしいと思う。