野菜高騰
野菜が高い。
猛暑・水害・病気、年々そういう悪条件が増えてきた。
以前は、高ければ儲かると、みんながこぞって作るから、その後は安くなるのがパターンだった。
または、緊急的に中国から輸入して価格を安くするという手段もあった。
今も、暫くしたら安くなると思っているかも知れない。
しかし、それは妄想になるかもしれない。
そもそも、今の野菜は本当に高いのか。野菜の価格の基準と言うのはいくらなのか。
多くの商品の価格には定価があるが、野菜や果物、魚などは契約栽培、契約取引的なものを除いて、市場相場で価格が決まっている。
例えば、コーラ缶とリンゴ。何となく工業製品だからコーラの方がコストが高く、木になるものだからリンゴの方が安く感じるかもしれないが、コストを考えるとリンゴの方がずっと高い。
そもそも中身もそうだが、コーラは年中作れて、恐らく1工場で1分で数万缶が出来ていく。しかし、リンゴは1つの農園で1年に1度。変な言い方をすれば1時間に1個も作れない。
これからは、農産物の生産環境が今までと違ってくる。
今の農産物の栽培農家は高齢化が進行している。中には若手で頑張ったり、企業が乗り出しているものもあるが、それは全体の数パーセントにすぎず、恐らくその他大勢は65歳をゆうに超えている状況だ。
平均がそうだから、恐らくその内の3割は70歳を超えていることになる。そして問題なのはその農家の後継者が2割もしかいないこと。
やがて、みんなリタイヤしていく。
日本の農地はアメリカや中国みたいに広大ではないので、1人で大量生産はできないので、なかなかカバーは出来なくなり、消費と供給のバランスはいよいよ今から厳しくなる。
輸入も簡単ではない。
海外の人口と消費量は今から増えていく。輸入するにしてもこれからは必要なだけ、安値でとはいかなくなる。
もう少し、農水産物の価値を認めて、農家や漁師に後継者ができるような適正価格に早めにしておかないと、想定以上に高いものを買うことになりかねない。
農水産物も安いと思うが、今は、水のペットボトルより安い果物の缶詰や魚の缶詰がある。
それに違和感を感じないわが国は、長い間、本当に供給過剰だったのだ。