ガソリンが安い!
有難いことにガソリンが安い。ガソリンが安いと日ごろ使うだけに、みんなにお得感が出て、ドライブや旅行に行きやすくなる。浮いたお金で、洋服でも買おうか、おかずのレベルを上げようかとなり、とにかく経済に貢献する。
なにしろ、ガソリン初めとする重油などの資源代は、全て海外に流出するから、これが高くなると当然日本のお金が減るのだ。
国内で産出したり、作ったりするものの値段が上がるのは、まだ、国内に還流するから、回りまわってということがあるが、国外に出て行ってしまったらどうしょうもない。
元々、原油価格は1バレル(1バレルは42ガロン・1ガロンは3.8リットル。だから1バレルは約160リットルということになる。念のために親切な解説)10ドル台だった。それがイラク戦争で急騰して、その後は産油国の産出量調整機能が働いて、高止まりしていたところに、原油が将来枯渇するなどという説が流れて、100ドル超えた。産油国はウハウハだった。
その象徴がドバイだ。
日本は、円安で更に輸入価格は暴騰し、ガソリンスタンドが軒並み潰れた。
そこに現れたのが、正義の味方のシェールオイル!!
原油を含む岩層から原油を取り出すので、掘ったら湧き出す中近東の油田採掘と違い、コストが数倍高くつく。
ところが、原油が高くなったので、アメリカではシェールオイル採掘がコスト的に合うようになって急速に増えた。
そして、ついにアメリカの産油量はそれまでの最大の産油国だったサウジを越えて、世界一になってしまった。
供給が増え、原油は暴落したが、今までの産油量調整役だったサウジは、価格が下がればアメリカのシェールオイルは採算割れして採掘が減るとみて、減産せずに増産を続けた。そう、サウジはぞうさんチームだったのだ!
ところがシェールオイルの採掘コストは60ドル以上とみられていたが、その後の技術向上で40ドル以下でも合うところが出て、1か所当たりの産油量も増えた。
今は、世界的需給危機の主因となっていた中国が減速して使用量が減っている。しかも元々無かったシェールオイルという原油が、従来の産出量に加わり、完全に供給過剰になっているため、当面は、価格回復の兆しはない。
ただ、心配されるのは、今まで、この資源で成り立っていた国々が、収入が減り、国の財政が破綻するような事態になれば、政情不安が起きたり、暴動が起きたりする事態になれば、これも大変。他国の事と済まされない!
価格がコスト割れまで下がれば、採掘を止めるために、また需給バランスが締まって価格もいずれ上昇するだろう。
原油が上がっていいこともあった。ハイブリッド車などのエコカー開発や、太陽光発電。
確かに、安い燃料は有難いが、安過ぎると、後で高いものにつくのは世の道理!!
安すぎると、今、アメリカで大型車の売れ行きが良くなったように、エコも、温暖化対策もみんな忘れてしまう懸念もある。