鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

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746 季節の中で

   

以前に書いたように、我が家の周りには、桜の成木18本と花桃2本が、もうすぐ満開を迎えようとしている。桜は今から24年前に植えたものだが、私が会社をリタイヤした頃に、みんなを呼んで花見をしたいと思って植えた。絵を描くのと同じ感覚で庭造りが好きで、自分で小さな苗木を買ってきて、20年後くらいの景色を想定しながら植えてきた。桜の花の時期は、わずか10日間くらい。後は緑の葉っぱだけになるのだが、それでも桜が好きで、こんにな多くなってしまった。桜は、人の気持ちを優しくさせる。ウキウキさせて、みんなを喜ばせるのが好き。もちろん、昔から言うようにパッと咲いて、パッと散る潔さみたいなのもいい。   

桜が終わると、木々の葉が出てきて、草も伸び、あたり一面緑になるので、当面夏までは、紅葉や、白と紫の花をいっぱい付ける祭り花、紫陽花などをそれぞれ10本から20本程度を家の周りに植えている。これも、種が落ちて子ができたものを移植したり、株分けしたりして増やしてきたものだ。さすがに想定外に大きくなりすぎて、家に害したり、他の木とのバランスが悪くなったものは伐採したり、切り替えたりしたものもある。例えば、庭の欅は家より高くなり、枯れ枝も出始めたので伐採。池の上のモクレンも大きくなり、花や葉が池に落ち込むし、花や葉の量が半端じゃなくなったので、可愛そうだがバーベキュー小屋を建てる時に伐採した。    

私も、もちろん楽しむが、私が居なくなった後も、残った家族や近所の人が楽しんでくれればいいと思って植えて来たもの。後々、家族も住まなくなる可能性もあるが、その時は、我が家を気に入ってくれた人が、公園の中の家のように思って、この庭を作った人間のことを少しでも想像してくれたらいいと思っている。   

一昨日から昨日にかけて、抗がん剤投与前で、体調も良かったので、花見客のために、家のすぐ傍にあった昔の農具入れのハウスを撤去して、駐車場を作った。カミ様だけになった時のために、後々、女手1人では難しいような片づけもの、不要なものの整理は、私が元気な内にやっておこうと思っている。  

カミ様に、よく「貴男は家の外と中では違う」と言われる。確かに内と外では違う。違うのが当たり前だと思っている。同じなのは変だ(笑)長い間、営業で得意先に気を遣い、新規の取引先も開拓してきた。普通、仕入れ先に対しては、仕入れる側が優位なものだが、農水産物の減少で、販売先と同じように仕入れ先にも頭を下げるような状況の中で、原料確保に走り回る。トップとして会社の悩み事を家庭に持ち込みたくはない。言い訳になるかも知れないが、そんな中で、家庭ではついついゆっくりしたいし、好きな洋画でも見て、ストレス発散する時間になりがち。「私は要らないのかもね」と言われても返答に困る。我が家のカミ様は、料理は外食が嫌になるほど上手いし、家庭のことも、家族親戚付き合いも、地域のこともよく熟してくれる。私が、仕事に没頭して、家庭のことは任せきりにしていたためだ。ただ、私も自分では悪い夫ではなかったと思っている。給料はカミ様直通だし、使い道を聞いたこともない(笑)付き合いは確かに普通の人の数倍あると思うが、酒好きではないから1人で飲んだり、酒に溺れたりも無いし、ギャンブルもやらない。私も聖人君子ではないし、飲むのには難しい話をしないで済むから女性と飲むことはあっても女遊びはしない。ただ、誘われると断れないし、付き合うのが礼儀だと思っている(笑)もちろん、モテるのではなく、安全パイと思われていて、何でも相談するのに都合がいいらしい。それでも、仕事以外でも、人の付き合いが多く、外食が多いから、たまにはカミ様と食事にという気持ちはあるのだが、付き合いで出なくていい時は、家に居たいのが本音。趣味も多いが、カミ様の趣味や仲間と旅行に行くことを嫌だと思うことは全くない。半リタイヤして、ようやく少し食事に行くようになったが、少し手遅れだった(笑)      

全然構わないと文句は言いながらも、今回のように私が弱った時は、よく世話をしてくれるし、身体を気遣ってくれて、愛されていると言うことはよくわかる。ただ、私の勘違いでなければいいが(笑)夫婦とは、何十年も一緒に暮らすもの。どちらかと言えば、男はずっと先の姿や生活を考えるが、女性は比較的短いスタンスで生活を考えるので、お互い同じ思いでも、そこにズレが生じることもある。しかしながら、何やかんや言いながらも、40年以上を共にしてきたということは、余程お互いに相性がいいか、我慢強いかだ。片方だけでは成り立たない。どちらかだけが我慢したら、それは犠牲でしかない。今、幸いに一致している目的がある。それは鯉を狙うサギを捕まえること(笑)      

庭の景色も、毎年花が咲き、目が出て、緑になり、葉が落ちて哀れにもなる。それを私たちがここに住む限り繰り返す。しかし、庭の景色もちょっとずつ変えている。家庭もおなじ、子供が結婚したり、孫が出来たり、改装したり、子供部屋が空いて物置になったり。      


 

 - 雑記

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