653 10秒の命
痛ましい事故が起きた。大津市で保育園児の散歩の列に車が突っ込んで2人の2歳の園児が死亡、その他11名が重軽傷。私も同じ年頃の孫がいるから、家族の悲しみや悔しさは想像できる。
こういう事故があると、すぐ保育園などの管理責任などが言われるが、これは保育園としては不可抗力。先生の配置などを聞いても、責められる落ち度は全くない。あくまでも、被害者側として防ぎようのない、予測不可能な交通事故。この散歩活動さえ責任があると言うなら、日本国中、保育活動は何もできないし、子供を閉じ込めておくしかない。
今回の事故は、よくあるパターンで、直進車と右折車の衝突事故による二次被害だということは明白になっている。それも、右折車が直進車が行き過ぎるのを待つべきところを、前の車が行った後を、「私も行ける」と、危険をある程度認識しながらも突っ込んでしまった結果だ。恐らく直進車が通り過ぎるのに5、6秒。10秒とかからないはず。10秒を待てなかっただけで、2人の幼い命を奪い、子供たちに大きな傷を負わせた。
勿論、直進車も、犯罪に問われなくても、交通事故として今のルールでは責任ゼロにはならない。なぜなら、交差点ではあらゆる危険を想定して、すぐ止まれるスピードで走行することになっている。しかし、現実問題として、右折しようとしている車があれば、右折車が当然待つだろうから、早く通り過ぎてやろうとする気持ちが出る。それが右折する車の常識だからだ。
右折車の運転者は女性で50歳代前半という。悔やみきれないほど後悔しているはずだ。「あの時、10秒待てば、何事もなかったはず」だと。当面眠れない日が続き、罪は償っても、これからの人生で忘れる日はないはず。死ぬより辛い日が続くだろう。特に女性であれば、子供を育てた母親の気持ちは、分かり過ぎるほど分かる筈。
交通事故は、他の犯罪と違って、起こそうとして起こす人はいない。しかし、防ぐことは自分で簡単にできる。飲酒運転をしない。よそ見運転をしない。スピード違反をしない。交差点を含め、交通規則に従って運転する。体調や年齢など自信が無かったら運転しない。それだけで自己起因の事故は防げる。慌てないためには、想定時間より10分早く出ればいい。事故で自分が傷つくのは構わないが、人を傷つけたら、被害者だけでなく、相手の家族や自分の家族も不幸にする。そしてこの不幸は決まった深さも期限がない。
みんな、そんなこと承知なのだが、それでも数秒数分を待てずに起こす事故は多い。私は、歳をとったせいかもしれないが、いつも、慌てない、急がない運転を心がけている。と言って、あまり遅いのは、後続車をイラつかせて、かえって事故を誘因することもあるので、流れに合わせることは大事。一番多いのが、やはり交差点。焦る気持ちも30秒待てばいい。それでも、横に乗っているカミ様からは、早すぎるとか、もっと車間距離をとか注文が来る(笑)