573 外国人実習生論議
私は、実習生を受け入れている側なので、自己擁護と受け取られても嫌なので、この件については、もうブログでも書かないつもりでいた。
しかし、こんなに実習生制度が悪者扱いされると、ちゃんと受け入れている組合や会社、及び、元気に仕事をしている実習生を代表して、分かる人には分かってもらいたいという思いが募る。
分かる人には。と言うのは、分かりえない人がいるという事。
実は、今日も、福岡県の労働部会で、家内労働の最低賃金についての会議をやってきた。
私は、事業者側代表の労働審議委員という立場の3人の内の1人。それに労働組合などの代表が3人、あと、公益者を代表して、大学の教授や専門家などが3人。労働部長など県職が事務局として数名で構成されている。
今回の問題は、男子既製服の内職作業最低賃金の存続についてだったが、実際に、これが制定された昭和57年と現在とでは、大きく実態が変化している。
今は、既製服の製造の97%は、中国を初めとするアジア諸国に移転されている。
今も国内に残っているのは、既製服ではなく、高級またはオーダーメイドの服が殆どで、当時決められた作業単価の作業自体が現実にそぐわなくなっている。
しかも、該当会社は福岡県全体で2社、従事者も50人程。
だから、もう男子既製服という種目については、審議会の役目は終わったのではないかというのが、私の意見なのだが、労働組合側代表になると、立場上、はい、そうですか、わかりましたとは言えないようだ。
労働者が不利になる。最低賃金が守られなくなるから、1社10人になっても存続すべきと言うのが持論。
一つ一つの内容は分かるが、それでも反対という、つまり、合意に至らず今回も持ち越しとなった。
実習生問題も、野党の立場として、人手不足は理解するが、受け入れには反対だという。
元々、10年前まで。実習生制度は、研修生制度と言われていた。
当初、最初の1年は、研修中だからと、月6万円という低賃金。そもそも賃金ではないわけだ。その後の2年は、実習と言う実労働を行うので、日本の最低賃金以上が定められていた。
1年の研修だけで帰らなければならないものもあった。
それが、研修期間が短くなり、半年、今は1か月と着実に改善している。
実際、この1か月は、会社の仕事はせずに、合同の研修場所で、日本語の勉強や日本の習慣などを勉強する。だから研修の1か月は、今も6万円。
低賃金と非難されるが、日本人と同じ最低賃金が定められ、住居もたこ部屋などと誇張されるが、これも1人に与えるべく広さが決まっており、寮費、家賃は1人1万円程度と、日本人より格段に優遇される。給料の安いと言う金額は、母国と比較すると、例えば一番来日者が多いベトナムでは、実際は5~6倍になる。
だから、みんな必死で日本語を勉強して来るわけだ。
指摘される問題は、確かにある。
まず、母国の研修機関の費用が高すぎること。しかし、これは日本の問題ではなく、中国やベトナムという送り出す国の問題。この費用の返済が大きな重しとなって、より多くのお金を稼ぎたくて、東京や大阪と言う都会に失踪してしまう。
まず、そこから直さないといけない。
また、それを手配するシンジケートがあって、街中やネットで誘惑する。
国内の受け入れ機関や企業は、私の知る範囲では、組合の管理や指導も厳守しており、日本人労働者が羨むほどに厚遇している会社も多い。
残業の問題でも、彼、彼女たちは出来るだけ、母国の家族に仕送りしたいので、残業したいと言って来るが、逆に、会社側としては労働法に定める時間があるので、要望通りに残業させられないのが実情。
失踪した実習生を聴取すれば、当然、給料が安い、酷い扱いを受けたと言うはず。
悪い例を捉えて、記事にしたり、議題にするのは、もちろん構わないし、そうすべき事実もあるだろう。
しかし、悪い部分だけを強調すれば、何も分からない人々は、それが全てだと思ってしまうし、日本の国が、そんな国だと思われかねない。
悪い部分を書くたてるなら、いい方も書かないと可笑しくなる。
彼女等の母国に行くたびに、集まってくれるし、みんなでご馳走してくれることもある。そんな話は、同じ受け入れ企業からもよく聞く。
多くの卒業生が、日本で貯めたお金で、家を建てたり、弟妹を大学に行かせたり、結婚資金にしたり、商売の元金にしたり、特別な例として、帰国後に留学したりした子もいた。
だから、帰国した実習生の殆どが、もう一度来たいと。それが大勢なのだ。
何度も言うが、悪い部分を改正したり、除外して、日本、母国、会社、実習生がWINWINの関係になればいい。
とかく、日本は、金や言葉は出すが、外国に対する実働支援や、受け入れはしない鎖国国家と言われている。
移民受け入れは、国民性もあり、まだ準備不足かも知れないが、せめて実習制度によっと後進国の人々や国の経済支援をするくらいのことは、野党と言えども、もっと前向きに考えるべきだと思う。