八女国際化協議会
2018/06/07
正式名称は、八女地区国際化対策連絡協議会。
何となく、仰々しい名前だが、要するに、研修生や留学生など、急増している外国人と八女地区の産業や住民が、問題や事故を防止して、友好に共生していくための協議会。
私は、2年前から、この協議会の会長に就任しているが、事務局は警察署の警備課。
その立場から、現在の外国人の状況をざっと紹介させて頂く。
元々、研修生制度以前にも外国人労働者は存在する。
例えば、外資系銀行や証券、ITなど技術系で一定の資格のある外国人で、銀行証券の他にも外資系や商社、自動車電機など日本の大手企業で正式雇用、つまり大学を出て、専門の知識や技術を持つ、いわゆる単純労働ではない人や、海外に工場を持つ日本企業で、日本で技術向上のために働いている労働者。それに、日本が認めていない単純労働でも、ブラジルなどの特定された日系労働者などなど。
そして、本来は、母国の技術向上のために、先進国日本で技術を学ぶために、当初1年期限で研修生制度が設けられた。
やがて、日本の人手不足が深刻化するとともに、研修生も初期費用が相当かかることから研修という名の労働期間を3年に延長されて20年近くになる。
更に、今年は制度が改正され、優良制度が採用されて、受け入れ組合と企業の両方が優良と認められれば、受け入れ人数も従来の倍、期間も3年から5年まで延長できることになった。
更に、それが5年延長、更に更に、今後は、人手不足が深刻な、農業や建築などでは、単純労働にも門戸を開く方向で進めており、それが確定すれば、年々加速度的に増加し、研修生を含めた外国人労働者は200万人を突破することになる。
おそらく、日本の労働者減少を考えれば、ここ20年ほどで、500万人に達する可能性が高いのだ。
そうなると、この協議会の存在意義もそれなりに高まっていくだろうし、あり方も考える必要がある。
因みに、現在の外国人労働者は全国で約130万人強だったと思うが、その内、研修生の数は27万4千人。
そんな中で、問題も増えている。特に多いのが失踪で、昨年1年で7000人を超える。
もちろん、一番人数の多いベトナム人が3700人とダントツで、中国人1600人、カンボジア650人、その他タイ・ラオス・バングラ・ネパール・フィリピン・ミャンマー。
失踪の理由は、より高い賃金を求めてとか、帰国が迫っているが、もっと日本で稼ぎたい。
来日前から計画的。ネットなどによる勧誘などなど。
そんな中には、暴力団などに巻き込まれて、ひどい目に会っている研修生もいるようだ。
やはり、受け入れに当たっては、きちんとした送り出し機関と、整備された受入れ機関や組合に加入し、現地でちゃんと面接をして選考することが大事。
今後、この研修生が更に急増することになる。はず。
なぜなら、政府も人手不足の窮状を受け、今までも少しずつ、受け入れが出来る業種を増やしてきたが、いよいよ介護職の認可が下りた。
この介護職の受け入れ希望が多く、受け入れのハードルも高いが、相当な受け入れ数になると思われる。
日本は、島国である上に、移民や外国人労働者を長く受け入れてこなかったために、異国人慣れしていない。
昨年だけで来日外国人が35万人も増えている。観光客も1000万人を目指しているのだから、今後は田舎の方でも外国人との接触は日常のことになる筈だ。
自転車で通勤する姿、スーパーでの買い物、隣のアパート。
最初は不慣れで不安もあるかもしれないが、労働力が不足する一方の日本では、彼らの協力無くして経済は維持できない。社会保障も危うい。
うまく付き合えば、国と国の誤解も解けるし、外国語の習得や、国際交流も出来る。
実際、我が社の社員も、研修生の帰国後に旅行に行って案内してもらったり、退職後の今でも交流している人がいるようだ。
何よりも、彼らは技術とお金、我々は労働力と、お互いに足りないものを補い合えるため、問題や事故さえ防げれば、国や世界を含めて三方良し、四方良しだ。
我々日本人の若者も、戦後の貧しい復興期には、ハワイやブラジルと外国に稼ぎに行っているのだ。
国と国の関係は、いろんな損得勘定があり、なかなか難しいが、俗に言う「草の根」交流が世界の平和には一番。