子鶴の恩返し 3
子供たちからの手紙の最後は、所帯をもった長男から。(原文のまま)
「父・母へ
こんな機会がないと、手紙とか書く事はないかなと思って、今回、兄弟3人で書いてみた。
小さい頃の記憶がほとんど無いから、沢山してもらった事、嬉しい楽しいは忘れている。
ごめんなさい。
でも、今、自分が親になって、すごく感じる事、思うことが多くなった。
父さんが、仕事をして家族を養う大変さ、責任ある立場で働くことの大変さもわかるし、俺の記憶では、父さんが家で暗かったり、愚痴を言っている時を見たことがない。
体調悪いのも、そんなに見たことがない。
すごいと思うし、俺もそうしていきたい。
八女のどこに行っても、知り合いがいたり、名前が通って影響力のあるお父さんを尊敬しています。
お母さんは、そんな忙しく自由な人を支えてきて、すごいなと思う。
若くして結婚して、すぐ子供ができて、自分の時間がほとんどなく、家族のこと、親のこと、子供のことを世話しながら、仕事もしたりして、今考えると超人だと思う。
特に、見返りもないのに、みんなのサポートをして、あっという間の40年間だったんじゃないかな。
心から感謝しています。
いろいろあったし、これからもあると思うけど、俺は2人の子でよかったと思っています。
どうにか、俺も独立して、結婚し、子供も産まれ、少しずつ親孝行が出来そうなので、最低でも、いろはの成人までは元気で仲良くお願いします。」
3人の子供たちに、手紙を読んでもらい、このところ、歳を取って涙腺が緩んでいるせいで迂闊にも涙がでました。
これまで、3人3様に心配させられたけど、親というものは、死ぬまで子供の心配をするもの。
でも、今回の旅行を通じて、私が願っていた3人の子供たちの心根、優しさだけは、間違わずに育ってくれたことに対して、かみさんに感謝しています。
そして、長男に、文句ないいい嫁が来てくれたことにも感謝しています。
私たち夫婦の望みは、子供たちがそれぞれ健康で自分の納得する、そして人からも納得される幸せな人生を歩んでくれることだけです。
できれば、それを自分の子供たちに、同じように伝えていって欲しい。